日本株マーケット速報 JAPAN EQUITY MARKET BRIEF — MARCH 22, 2026 · KHF KANDA-KAI SECURITIES DIVISION
本稿は情勢分析を目的とした速報であり、投資勧誘・推奨を行うものではない。数値はすべて公開情報に基づく参考値である。
直近の動き — 1,866円安の構造
3月19日(木)の東京市場で日経平均は前日比1,866円安(▲3.38%)の53,372円で終えた。 下げ幅は一時2,000円を超える場面もあり、5カ月ぶりの安値水準となった。 下落の主な要因は三重構造をなしている。
第一にFRBのタカ派的据置。3月18日のFOMCは金利を据え置いたが、 パウエル議長のコメントは「想定以上にタカ派的」と受け止められ、 米国での利上げ観測まで浮上した。米長期金利が約1カ月ぶり高水準の約4.2%まで上昇し、 ハイテク・半導体株の売りを誘発した。
第二に日銀の政策据置と「4月利上げ警戒」。日銀も3月18〜19日の会合で 金利を据え置いたが、声明文で「中東情勢の緊迫化による原油価格上昇が 消費者物価の上昇率のプラス幅を拡大する方向に作用すると考えられる」と明示。 4月会合での利上げ可能性が意識され、日経の重荷となった。
第三に地政学リスクの悪化。イスラエルによるイランのガス田攻撃と その報復の応酬が継続。さらに3月21日(土)にはトランプ大統領が 「48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければイランのエネルギー施設を攻撃する」 とSNSに投稿。週明けの市場への影響が懸念される。
海外投資家が今年初めて売り越しに転じたことが確認されている。 3月は例年「配当取り」による国内機関投資家の買いが下支えとなるが、 今年は配当権利付き最終売買日(3月27日)を前にしてもこの売り圧力が 買い越しを打ち消している。需給の構造的な弱さが続いている状況である。
業種別・銘柄別の明暗 — 「有事の選別」
| 銘柄 | 方向 | 主な要因 | KHF評価 |
|---|---|---|---|
| INPEX(1605) | ↑ 上昇 | 原油高の恩恵・国内ガス田開発 | 有事受益の典型。注視継続 |
| 川崎重工(7012) | ↑ 強含み | 防衛関連・地政学リスク上昇 | 防衛費拡大路線との整合 |
| 日本製鋼所(5631) | ↑ 強含み | 防衛関連・原子力需要 | エネルギー安保テーマと一致 |
| アドバンテスト(6857) | ↓ 売られた | 金利上昇・指数寄与度大 | 半導体サイクルは引続き注視 |
| 東京エレクトロン(8035) | ↓ 売られた | 米金利上昇・ナスダック安 | AI投資継続なら押し目視点も |
| 三菱地所(8802) | ↓ 軒並み安 | 日銀利上げ観測・金利敏感 | 4月日銀次第で下落継続リスク |
| 三菱UFJ(8306) | ↓ さえず | 原油高による景気懸念勝る | 高配当・低PBRの魅力は維持 |
| トヨタ自動車(7203) | ↓ 円安でも弱 | 輸出株も原油高コスト懸念 | EV転換戦略の長期焦点 |
| JAL・ANA | ↓ 下落 | ジェット燃料+83%・航路混乱 | 中東情勢収束まで逆風続く |
| 任天堂(7974) | ↑ 買い | 地政学無関係・ゲーム関連買い | Switch 2発売期待が下支え |
| リガク(268A) | ↑ +6.82% | 値上がり率プライム1位 | 精密機器・科学技術テーマ |
今次の相場では「エネルギー・防衛・ゲーム」対「金融・不動産・半導体・航空」という 鮮明な二極化が進んでいる。原油高→インフレ→金利上昇→グロース株・金利敏感株売り、 という連鎖が基本構造で、同時に有事そのものから恩恵を受ける防衛・資源株に 資金が流入している。業種間の相関構造が平時と大きく異なる「有事相場」の典型的な姿である。
来週(3月23〜28日)の注目点
- 中東情勢週明け初動
- トランプ発言の影響確認
- 原油先物動向
- 米2月製造業PMI
- 欧・製造業PMI
- 円相場・160円攻防
- 日銀議事要旨(1/22・23)
- 景気一致・先行指数(1月)
- 独IFO景況感(3月)
- 英CPI(2月)
- 米GDP確定値(10-12月)
- 全国CPI(2月)★注目
- 日本企業物価動向
- ★配当権利付き最終売買日
- 米ミシガン大消費者マインド
- 米コアPCE(2月)
①中東情勢の続報 — トランプ発言の「48時間以内」という期限が週明けに到来する。
実際の軍事行動の有無・和平交渉の進展が週初の最大変数となる。
②3月26日(木)全国CPI(2月分) — 日銀が4月会合での利上げを判断する上での
重要データ。原油高の波及がどこまでコアCPIに滲出しているかが焦点。
2%超の定着が確認されれば日銀の利上げ観測がさらに高まり、
特に不動産・金融セクターへの売り圧力が増す。
③3月27日(水)配当権利付き最終売買日 — 3月末配当銘柄の権利を得るための
最終売買日。例年この日に向けて高配当銘柄に買いが集中するが、
今年は地政学リスクによる下押し圧力との綱引きとなる。
先物の理論値が現物を約230円下回って推移する点も注意が必要。
KHF神田會證券部 — 来週シナリオ分析
予想レンジ(フィスコ):下限 50,800円 — 上限 54,000円。 以下にKHF神田會証券部の三シナリオを整理する。 なお本稿は研究目的の情勢分析であり、投資判断の根拠とすべきものではない。
「オイルショック」的な今回の事態を受け、KHF神田會証券部が注目するテーマは三つ。 ①代替エネルギー関連(バイオマスプラスチック・再エネ・水素): 原油高騰が代替エネルギーの経済合理性を高め、中長期テーマとして再浮上。 ②防衛・安全保障関連:地政学リスクの構造的高止まりを背景に 防衛費増大路線との整合性が高い。川崎重工・日本製鋼所・三菱重工等。 ③高配当・低PBR銘柄の選別:権利確定を前に実質利回りが相対的に 魅力的な銘柄への資金シフトが観測されている。 ただしこれらは研究的な視点の整理であり、投資推奨ではない。
中期展望 — 2027年6万円への道筋と課題
EBC調査等の分析では2027年に日経平均6万円超が視野に入る との見方も示されており、日本株の長期上昇トレンド自体は崩れていない。 根拠は春闘での高い賃上げ率(2026年: 5%程度)に裏打ちされた 実質賃金のプラス転換と、DX・GX・防衛投資を軸とした設備投資の継続的拡大にある。
しかし現局面での最大のリスクは、原油高が「コスト高→業績ガイダンス引き下げ」 という形で2027年3月期決算見通しに織り込まれることである。 4〜5月の本決算発表シーズンに向け、原油高をどこまで市場が業績に 反映させていくかが日本株の中期的な試金石となる。
また、円安(160円台)が日本株の一定の下支えになっている という構造も確認されている。有事のドル買い性格が強く 為替介入の効果は限定的との見方が多いが、 過度な円安が進めば輸入コスト高騰を通じて逆に消費を冷やすという 矛盾した圧力も蓄積される点には留意が必要である。
主要情報源・注記
- 日本経済新聞(令和8年3月19〜22日)— 日経平均終値・銘柄動向・相場解説
- 岩井コスモ証券 市況解説(令和8年3月12日)— 業種別詳細・銘柄名の参照
- 株探ニュース(令和8年3月21日)— 「来週の注目3ポイント」フィスコ分析
- Yahoo!ファイナンス / フィスコ(令和8年3月21日)— 来週レンジ予想・為替見通し
- 楽天証券トウシル(令和8年3月)— 配当権利付き最終売買日・先物乖離の解説
- EBC Financial Group(令和8年3月)— 日経平均中期見通し・2027年6万円試算
- KHF注記:本稿はいかなる投資判断の根拠とすべきものでもなく、研究・情報共有を目的とする。
